病 院 長
森 成 正 人
地域住民の皆さま
いつもご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
当院が開院する以前、この地域では救急患者を受け入れる病院がなく、住民と行政が協力して厚生連、日本赤十字社、済生会などの公的医療機関を誘致しました。しかしながら、その当時の人口規模においても採算性の問題から実現しませんでした。
ならば自治体で支える病院を作ろうという機運が高まり、平成2年に開院にいたりました。
地域の人口は開院時と比べると67%まで減少しています(平成2年➔令和6年)。そして、行政の予防医学の推進効果もあり、病院受診者が減少するのは自然な流れです。ところが、このことは病院の経営悪化を意味し、特に当院の救急医療維持の是非については意見が交わされることもあります。
栃木県内の他の二次救急医療圏では複数の病院が当番制で救急医療に対応しています。しかし当地域は、那須南病院のみの、いち医療機関で二次救急を行っている県内で唯一の医療圏です。労務規約を守りながら365日の体制を維持するためには、相応の職員数が必要になります。救急医療体制を維持するための専門職の必要人数は、平日の通常診療体制を維持するための人数を上回ります。このことによる人件費増加も経営上の解決困難な問題の1つです。
休日1日あたりに必要な救急担当医師はのべ4人ですが、当院では病院長を含めた10人程度の医師が協力し、夜勤対応可能な看護師や技師、薬剤師とともに、年間1300台程度という病院規模からみても多くの救急車を受け入れています。救急科のない中で、当院の救急車の応需率は県内病院群で上位、特に緊急性の高い心肺停止患者においての応需率はほぼ100%と最上位に位置します。
一次救急を担当している休日当番医への受診案内含め、状況によっては当院で受け入れできない事例、また他の自治体病院と同様に経営赤字が続くことなどのマイナス部分は目立ちがちです。改善すべき点については今後もご指摘いただきたいのと同時に、地域住民の皆さまにとっての当院の強み、そして現場職員の奮闘についても目を向けていただけますと職員の士気向上にもつながります。
時代変化に対応して、当院も変容していく必要があります。地域医療のさらなる充実を目指し、訪問看護ステーションの開設、地域包括ケア病床の再開、介護者支援短期入院(レスパイト入院)を開始しました。また、療養病床では必要な条件を満たす方の長期入院にも対応いたします。ホームページも参考にしていただき、不明点はご相談ください。
私自身20年前からこの地域に暮らし、皆さまとともに日々を過ごしてまいりました。その歳月の中で、皆さまの情に厚いお人柄にも数多く触れ、この地域の暖かさを感じております。
当院が皆さまの健やかな暮らしを支える一助となり、地域の活性化に少しでも貢献できれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
令和6年 4月1日